中学生のとある時期から、深夜ラジオを聴くようになった。
早起きする必要がなくなったため、いくらでも夜更かしできた。

ラジオ界のことは何も知らなかったので、とりあえず有名なオールナイトニッポンを聴いたが、雑音も多いし、あまり面白さがわからなかった。

それでもTBSラジオの感度が良いことを発見し、とりあえずTBSだけは聴いていた。
だいたい0時くらいにラジオを付けるのだが、そうするとだいたい「宮川賢の誰なんだお前は」という番組が流れていた。

宮川賢(みやかわまさる)というおじさんがアホなことを言ったり、時々まともなことを言ったりして、面白かった。
「この宮川という人は、なかなかセンスの良い人だ!」と子供ながら思っていたものだ。

「誰おま」が1時に終わり、その後3時までアップスという枠があった。
日替わりでいろいろな人がDJを担当していた。
その枠の月曜日担当DJが伊集院光であった。

初めは「誰おま」の流れでアップスもだらだら聴いていたが、「ラジオ=伊集院光」になるのに時間はかからなかった。
自分の中で伊集院光のイメージは、「たまにテレビに出てるB級タレント」くらいのひどいものだった。

だがラジオの中の彼のなんと輝いていたことか。

「TMネットワークのウツとキネがなんとかで…なんとかなんだよ(爆笑)」

明かりの消えた青い部屋に、月明かりと彼の軽妙なトークが光輝いていた。

「なんとセンスの良い人か!!」
伊集院光は人生の師となった。
当時の自分にとって彼のトークが唯一の友達であり、救いであり、何よりも信じられるものだった。

それから何年も聴き続けた。
MDに録って何度も聴いた。
データが消えては落ち込んだ。

18歳くらいの時、好きな子ができ、社会に復帰しかけ、「俺なんでこんなの聴いてんだ気持ち悪い」と伊集院を絶った。

だがすぐまた戻ってきた。

23歳くらいの時ふと「なんか、微妙に昔と違うよね…」と伊集院を絶ち気味になった。

しかしやはり、また習慣は戻った。
毎週なるべく録音は続けた。
MDコンポは壊れたが、ビデオテープに録り続けた。
去年ICレコーダーを導入し、microSDに録音出来るようになった。

「これでPCにも簡単に取り込める!便利な時代になったなあ!」
毎週録音を続けた。

だんだん録音を忘れるようになったのは、しばらくしてからだ。
ネットをしたり、バンドをしたり、他に気をとられることが増えたのかもしれない。

今では録音タイマーをセットすることはなくなった。
ICレコーダーは曲作りの時だけ使っている。

先日たまたまネットで当時の音源を聴いた。
中学生の自分が熱狂していた音源。


伊集院さんだけは一生聴き続けると思っていたのに。