いろいろな出会いがあるものだ。
今日という日の最後にこんな出来事が待っていたとは。

昨夜の飲酒のせいか朝の目覚めは最悪だった。
気分も久しぶりに荒れたけど、昼間に入浴して回復させ、夕方には動画を作ったりした。

夕食はしゃぶしゃぶであった。
久しぶりに肉をがつがつ食らった気がした。

動画のエンコードを待つ間、少しだけウイスキーを飲み、佐藤友哉の厨二小説を読む。
本日二回目の入浴を済ませたあと、ゴミを出しに家を出た。

夜の街は冷え込んでいたが、風呂上りの体に冷気が気持ちよかった。
この時点で朝のネガティブな気持ちはなくなり、まあまあの日だったなーと言う感想を持っていた。

だが次の瞬間、その感想は「良い日だった!」に変更されることになった。

前方から、マフラーとコートで防寒した近所のお姉さんが歩いて来るのだ。
両手にゴミを持った僕は「こんばんは」と言った。
二ヶ月間人と話していなかったために、まるでフランス人歌手のようなウスパーヴォイスが発せられた。
それは闇に溶けた。
お姉さんは体を弾ませ軽い会釈をした。

僕はゴミ捨て場に辿り着き、たくさんのゴミを丁寧に置いた。
後ろでドアの閉まる大きな音がした。
街は一際静やかだ。

いやあ、こんな良い事が最後に待ち受けているなんて、ほんとに思いもしませんでしたよね。