予言者クラリス

六月よ 早く過ぎてくれよ
おかしいな 時がのろまです

飛行機が雲を切り裂いたら
図書館で少し休ませてもらいたいだけです
空が青です

自殺した予言者の 日記をめくってクラリス
どっかのページにふせん貼り すそでぬぐうの水彩
何度も門をくぐりぬけ 読んではめぐる八月
急行電車乗り過ごす すい星 明日落ちるもの


七月よ どっか連れてってよ
どうかしてる 心騒いでる

さびついた 自転車捨てちゃったよ
図書館まで歩く道はもう盛ってる日差しです
写真撮ります

未確認の手紙あり 日記を書いてるクラリス
返したくても返せない 1000回目かのスーサイド
あこがれの写真模写 描いてはめぐる八月
始発列車動き出す ベッドで目閉じるころ


水道水冷たい


未確認の未来予知 日記に書いてるクラリス
治りたくても治らない 1000回目かもうスーサイド
たそがれの季節模写 描いてはめぐる八月
始発列車動き出す

自殺した予言者の 日記を読んでるクラリス
どっかのページにふせん貼り すそでぬぐうは水彩
何度も門をくぐりぬけ 読んではめぐる八月
急行電車乗り過ごす すい星 今日落ちるもの




   UFO通り

きりがかかった道を 右に曲がってみたら
スーパーで買ったアイスの フタをパカってしたら
角の横断歩道を 猫が渡っていたら
紙飛行機作って 君の背に投げたら

さよなら 不安さ 君が目 開いたら

染みがはねたシャツを 何度洗たくしても
神がかった色味の 夕焼け空眺めた

さよなら 終いさ 君が代 新世界だよ

こ こりゃ未来だわ こりゃ未来だね こりゃ未来未来 これ未来じゃない?
意味が見えた 僕らが未来だぜ

こ こりゃ未来だわ こりゃ未来だな こりゃ未来未来 これ未来だわ
君も見たかい 僕らが描いた未来だぜ


でかい鉄塔の先に 人が立っていたんだ
髪を切ったあなたと 夏の空中戦したい

さよなら 終いさ 君が代 新世界だよ

こ こりゃ未来だわ こりゃ未来だね こりゃ未来未来 これ未来じゃない?
意味が見えた 僕らが未来だぜ

こ こりゃ未来だわ こりゃ未来だな こりゃ未来未来 これ未来だわ
君も見たかい 僕らが未来も未来だぜ


君も見たかい
僕らが未来も未来も未来も未来だぜ




   涙のタイムカード

君の名は全部燃やした 憧れは全部焦がした
すずめから なぐさめてもらった

公園のベンチ座って 時計台の文字数えた
お昼から 日暮れまで 数えてた

魔神を揺り起こして この街踏みつぶしてもらったら痛快かい? 
かもね?

ねー? 笛の音に涙 遠くの学校の開いた窓から
ねー? この年で涙 流れ落ちて
夕焼けとかきれいにしちゃうよね


僕の名は全部隠した タイムカードも破いた
かすむ目に 目薬を差しました

うまくやれるって思った ちゃんとしたルールに戻って
見直して もらえると 思ってた

不安が飽和ぶって 心の支配層へ
いつから許しちゃったんだろね?

ねー? 枯れた木に鳩が並んだら飛んだ隣の世界へ
ねー? 僕の目の涙は科学的 渇いちゃうと 何も見えないよね

夜から夜まで 朝からエンドレスで
暮れから暮れまで 今からエンディングへ


地球が青くたって この空は赤くって
僕の目にたまる 涙

ねー? 自販機のサイダー 120円ぶんの 時給をつないで
ねー? 僕の目の涙は露骨だね
どの世界もきれいにしちゃうから




   鏡の中にいます

君の存在自体がさ 君の存在自体がさ
君の存在自体がさ 君の存在実体が不明

もう一度 会えないかななんて 君は言うけど そう言うけど
もう一度 会えないかな なんてね ふざけてる 考えてみろよ

君の存在自体がさ 君の存在自体がさ
君の存在自体がさ 君の存在自体が奇跡

もう二度と逃げないからなんて 君は言うけど そう言うけど
もう二度と消えないからなんてね ふざけてる 考えてみろよ


もう一度考えてみろよ (考えてみろ)
もう一度考えてみろよ (考えてみろ)
なあ本気で考えてみろよ (考えてみろ)
もう一度考えて

もう一度がんばってみようよ (がんばってみろ)
もうワンドリンク買ってみようよ (うん 買ってみろ)
もう半年頑張ってみようよ (がんばってみよう)
もう一度考えてみるよ (考えてみよう)

鏡の中で暮らす 君の手を離す
鏡の中で暮らす 君が目をそらす

鏡の中で暮らす……




   前夜

開戦前夜の街 見上げてるよ
サンダル 履歴書 雑誌 左の袋に

遠くに線で落ちる 光の矢が
とうとう僕の目の前に突き刺さる

開戦前夜のまま 立ちすくむよ
出身経歴なし ごまかそうもういっそ

公衆電話選び さまよう街
ちっちゃいお砂場に 埋もれてるダイヤル

映画になりたいよ 漫画になりたいよ
文句もつかない 遠くの街で
名画になりたいよ 天使になりたいよ
大きくなりたい 遠くの街 小さな街で


開戦前夜のムーン 見上げてるよ
経歴詐称 異分子 なじめない天井

遠くでえんえん鳴る 知らない曲
何度も耳すます いつまでも階段で

映画になりたいよ 漫画になりたいよ
文句もつかない 遠くの街で
名画になりたいよ 天使になりたいよ
大きくなりたい 遠くの街 小さな街で




   かくれんぼ

夏祭り びんの海 アスファルト 鳴らす音
森の中 窓の奥 まどろんで落ちる僕 永遠に

灰抱きしめ 僕の化身め 上手に先導 みつの中
感覚半減 名刺が透明 まったく残念 奈落の間

ヨーヨーを 投げ捨てて 帰る子の 顔は僕
すき間から のぞくのに 飽きたなら 出ておいで 

早く おいで

甲斐なき神殿 僕の化身め とっくに滅天 びくの中
感覚確変 0時が峠 窓の向こうで あがく野良

灰抱きしめ 僕の化身め 上手に先導 みつの中
感覚確変 0時が峠 ドアを開いて あがく野良

連絡しようって 留守電聞いて 三角公園 かくれんぼ
何度も吸って 何度も吐いて 会えて良かった 夜明けの座




   モスコミュール三杯

モスコミュール三杯 君がいないから
モスコミュール三杯だもん

モスコミュール三杯 君がいないから
モスコミュール三杯だもん

五月雨だ胃が痛いんだわ
涙目だおなか減ったわ
帰りの電車こないんだわ
どうにかなっちゃうんだわ

モスコミュール三杯 君がこないから
モスコミュール三杯だもん

モスコミュール三杯 君がこないから
モスコミュール三杯だもん

五月雨だ胃が痛いんだわ
涙目だおなか減ったわ
帰りの電車はないんだわ
どうにかなっちゃうんだわ

髪留めの落としもんだわ
よみがえるあの予感だわ
帰りの電車はないんだわ
どうでもいいかってもう


モスコミュール三杯 君がいないから
モスコミュール三杯だもん

モスコミュール三杯 君がこないから
モスコミュール三杯だもん

モスコミュール三杯半




   オレンジの庭

緑の庭で 影を眺めてた
人差し指で 光をふさぐ

肌が触れたら 長そで着なくちゃ
いつしか空は オレンジのジュース

絵を描いたんだ君の 泉を通る君の
幸せそうな君の絵


明日も庭で 影を眺めてた
小指の先で 木の実をつぶす

落ち葉をたいて 買い物しなくちゃ
空は埋め立て ぶどうのジュース

絵を描いたんだ君の 草に寝こんだ君の
着がえたかった君の絵


絵を描いたんだ君の 泉を通る君の
くつが脱げた君の目

開いた目

閉ざした




   シースルー

いるはずないから 君はいないけど 雨が降る駅前に立ってた
さびたビニール傘 濡れた制服の 肩にぽたっと水滴たらした

透明な水の音が 何千も耳に落ち 三年間なじんだ この街を 私物化

行きたくないけど やめられないから 毎日同じページを開いた
ズルをしたいのは したたった水が うわばきをキュッと鳴らすから

タイルの目に合わせ歩いた 目の下のクマは消えない
君の顔は今日も分からない それでも

振り返れば後ろの席に 君がいる気がすんよ
闇雲なこの目の前に 君がいる日がくんよ

好きな色は何?

いつまで語れんのか いつまで喋れんの いつまで騒げんのかな
いつまで歩けんのか いつまで走れんの いつまではねれんのかな
いつまで待たれんのか いつまで待たされんの いつまでこうしてんのかな
いつまで通えんのか いつまで帰れんの いつまで続けんのかな

窓から流れる 景色のシャワーを 明日も浴びるだろう 悲しきかな


見るはずないから 意味はない だけど えんぴつでメッセージ残した
同じ机使う 君が見そうな位置 何度も何度も計算したんだ

運命が回り始めた 何人かを見送った
最後まで なじむ事のない さよなら

雨上がり 公園の前に 君がいる気がすんよ
真剣な僕の台詞に 君はおかしいって言うよ
透けるシャツくゆらす指を 君は少しなめんよ
カーテンを開いた天の光に目は眩むよ

好きな服は何?

いつまで語れんのか いつまで喋れんの いつまで騒げんのかな
いつまで歩けんのか いつまで走れんの いつまではねれんのかな
いつまで待たれんのか いつまで待たされんの いつまでこうしてんのかな
いつまで通えんのか いつまで帰れんの いつまで続けんのかな

窓から流れる 景色のシャワーも 明日は違うだろう 悲しきかな